研究課題/領域番号 |
20590202
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
長野 護 近畿大学, 医学部, 講師 (80155960)
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研究分担者 |
重吉 康史 近畿大学, 医学部, 教授 (20275192)
藤岡 厚子 近畿大学, 医学部, 准教授 (30077664)
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キーワード | 視交叉上核 / Per1 / プロテオーム解析 / 光同調 / 日長時間 / 概日リズム |
研究概要 |
体内時計の中枢である視交叉上核に日長の変化がどのような影響を持つかを明らかにするために、時計遺伝子Per1遺伝子発現をin situ hybridizationを用いて検討した。その結果、背内側部の脳室近傍領域におけるPer1遺伝子の発現開始が早まり、それより外側の領域では、発現の終了が遅くなっていた。また長日の1日目では、腹外側部のPer1遺伝子の誘導時刻が早まったのに加え、背内側部の脳室近傍領域におけるPer1遺伝子の発現開始も早くなった。このことから、長日条件においては光条件の変化に伴い、背内側部のPer1発現が修飾され、発現ピーク時刻のずれおよび発現の延長をもたらしていることが示唆された。 次に、生物時計の分子機構を明らかにする上で、実際に生物現象を担うものはタンパク質であることから、概日時計の位相に依存してリン酸化、脱リン酸化されるタンパクのプロテオーム解析の確立を目指した。そこで、まず細胞系を用いてプロテオーム解析を行った。C6細胞は、デキサメサゾン投与後、約1週間続く概日リズムが転写レベルでみられることより、C6細胞を用いて解析を行った。タンパクのリン酸化は等電点の変化を生じるため2D DIGEにおいて横に並ぶいくつかのスポットとして捉えられ、さらにリン酸化タンパク特異染色や細胞の抽出物をphosphataseで処理後、2D DIGEを行うことで概日リズムの位相依存性にリン酸化されるタンパクを検出できた。その後質量解析によりタンパクを特定した。その結果、C6細胞においてElongation factor2 (EF2)のリン酸化に概日リズムがあることが明らかになった。これらの手法を用いることで比較的容易に概日時計の下流でリン酸化、脱リン酸化されるタンパクの検出が可能である。今後視交叉上核を対象として検索を進める予定である。
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