幹細胞における陰イオンチャネルの役割と生理機能を検討した。マウス胚性幹細胞及びヒト間葉系幹細胞では容量依存性クロライドチャネル (ClC-3、ClC-4)及びClCA Ca^<2+>活性化クロライドチャネル、Bestrophin(ベスト病原因遺伝子)の遺伝子の発現がRT-PCRによって検出された。一方、CFTRは未分化幹細胞では検出されなかった。ヒト間葉系幹細胞ではパッチクランプによる細胞膜電流記録で容量依存性クロライド電流を記録することができたが、Ca活性化クロライド電流は非常に小さく記録が困難であった。細胞内Ca 活性化K電流はクロライド電流は大きな外向き電流として機能していた。ヒト間葉系幹細胞では細胞内Ca濃度が経時的に変動しオシレーションすることより、Ca動態が分化に影響を及ぼす可能性を脂肪細胞へ分化誘導して検討した。細胞内Caのハンドリングにより幹細胞から脂肪細胞への分化が調節されていることが示され、その詳細な調節機序の解明は更なる今後の研究が必要であると考えられる。
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