研究概要 |
電位依存性プロトン(H^+)チャネルを高密度で発現しているマイクログリアを用いて、チャネル活性の温度依存性リクルートメント機構を調べた。H^+チャネル電流はチャネルポア内のイオン透過過程にポアへのアクセス抵抗の効果が加わった総合結果であることを実証し、ポア内イオン透過、アクセス抵抗、H^+チャネル電流それぞれのQ_<10>値(室温範囲で約2.2、1.3,1.5)を算出した(投稿中)。これより10-30分の経過で観察される定常電流振幅の温度応答のうちlow Q_<10>値は単一チャネル電流の増加、high Q_<10>値はそれに加えて開ロチャネル数の増加の指標となる裏づけが得られた。細胞膜コレステロールを除去する効果のあるMethyl-b-cyclodextrinで予め細胞を処理するとlow Q_<10>値には変化が無く、high Q_<10>値が減少し温度依存性リクルートメントにラフトが関与することが示唆された。クラスリン依存エンドサイトーシス阻害剤(dynasore)では、low Q_<10>値、high Q_<10>値共影響を受けなかった。カルモデュリンキナーゼ阻害剤(W7)を添加すると濃度依存的にH^+電流が減少し、high Q_<10>値が減少したが、low Q_<10>値は影響を受けなかった。このように単一チャネル電流の実測が困難なH^+チャネルにおいて電流増減のメカニズムを見極める手段としてQ_<10>値が有望であることが示された。これらの結果を踏まえ、比較的短時間で起こるラフト動態、カルモジュリン効果の解明を進める共に、30分以上の長期に渡るリクルートメントへのendocytosis/exocytosisの関与、Q_<10>パラメータより開ロチャネル総数の相対的定量の理論と適用条件を検討する予定である。
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