研究概要 |
白血球-血管内皮細胞の接着によるRhoファミリーおよびRap1低分子量Gタンパク質活性化の生化学的解析 (1) 白血球が血管内皮細胞間をすり抜けて遊走する際、低分子量Gタンパク質が活性化するかどうかを生化学的手法で解析するためには、白血球と血管内皮細胞における、それぞれの低分子量Gタンパク質の活性化状態を区別する必要がある。そこで、Flagタグを導入したRhoファミリーおよびRap1低分子量Gタンパク質のcDNAをレトロ・ウイルス、レンチ・ウイルス(白血球導入用)、あるいはアデノ・ウイルスベクター(血管内皮細胞導入用)に組み込んだ。 (2) 上記(1)で構築した発現ベクターを白血球あるし、は血管内皮細胞に導入して、全細胞タンパク質抽出液を抗Flag抗体によるウエスタン・ブロット法で各低分子量Gタンパク質の発現を確認したところ、血管内皮細胞への遺伝子導入は高効率で達成できたが、ヒト末梢血由来の好中球への遺伝子導入は困難であった。 (3) 低分子量Gタンパク質RhoファミリーおよびRap1のエフェクター分子でのGTP結合型認識ドメインを融合したGSTタンパク質(Rho ; GST-Rhotekin RBD, Rac1&2/Cdc42 ; GST-PAK CRIB, Rap1 ; GST-RalGDS RA)を大腸菌で発現し、精製した。 (4) 上記(1)で構築したアデノ・ウイルス発現ベクターを血管内皮細胞に導入して、白血球-血管内皮細胞の相互作用の際に血管内皮細胞で活性化している低分子量Gタンパク質を、上記(3)で精製したGST融合タンパク質を用いてPull-downし、抗Flag抗体を用いたウエスタン・ブロット法により検出した。その結果、予備実験的ではあるが、血管内皮細胞での低分子量Gタンパク質の活性化状態を検出することが可能であった。 今後、さらに詳細な実験条件下でRhoファミリーおよびRap1低分子量Gタンパク質の活性化を検討し、白血球と血管内皮細胞が相互作用する際の低分子量Gタンパク質の役割を明らかにしていく予定である。
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