白血球が血管内皮細胞間をすり抜けて遊走する際、白血球の細胞接着分子JAML(Junctional adhesion molecule-like)と血管内皮細胞側の接着分子ESAM(Endothelial cell-selevtive adhesion molecule)やCAR(Coxsakievirus and adenovirus receptor)が最初に相互作用すると考えられる。そこで、各々の接着分子がin vitroにおいて相互作用するかどうかを検討した。 1)白血球側の細胞接着分子JAMLおよび血管内皮細胞側の接着分子ESAMならびにCARの細胞外ドメインをヒト免疫グロブリンのFc領域あるいはGSTとのキメラ・タンパク質を発現するベクターを構築した。 2)上記1)構築したGST-JAMLの発現ベクターをヒト胎児腎由来細胞HEK293にトランスフェクションし、細胞培養上清を回収してGST-JAMLとのキメラ・タンパク質をグルタチオン・セファロースに結合した。 3)上記2)で調製したGST-JAML・ピーズを用いてJAML-Fc、ESAM-Fc、あるいはCAR-Fcの発現ベクターをヒト胎児腎由来細胞HEK293にトランスフェクションして得た細胞培養上清と混合し、Pull-down assayを行った。 その結果、JAMLはESAMあるいはCARと相互作用することが明らかとなった。一方、JAMLどうしのホモフィリックな相互作用は認められなかった。 今後、今回見い出したJAMLとESAMあるいはCARとの相互作用が細胞レベルでも実際に起こり白血球と血管内皮細胞が互いに接着した際に、双方向にシグナルを伝達しているかどうかをRhoファミリーおよびRap1低分子量Gタンパク質の活性化やMAP-Kinaseファミリーの活性化を検討することで、白血球と血管内皮細胞が相互作用した際における両細胞内のシグナル伝達機構を明らかにしていく予定である。
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