シナプスの興奮性を抑制する電位依存性K^+チャネルであるKv4.2は、シナプス入力に依存してシナプス近辺の樹状突起へと集積する。小脳初代培養細胞においてKv4.2は顆粒細胞の細胞体に発現するが、苔状線維(橋核細胞)との共培養によるシナプス形成によってシナプス近傍への局在が観察される(Shibasaki et al.2004)。Kv4.2タンパクのN-末端、またはC-末端にEGFPを付加した融合タンパクcDNAを強制発現させることによって局在観察を試みたが、小脳初代培養細胞を用いた場合は明確な局在がみられなかった。問題点を明らかにするために、これらの変異型Kv4.2の発現と機能に関してCOS-1細胞を用いて検討したところ、ホールセルパッチクランプ法で野生型類似の不活性化を示すAタイプのK電流が確認された。ただしEGFPをN-末端に付加した変異体は不活性化の時定数が野生型より大きかった。これはN-末端が不活性化を担っているため、それがEGFP付加によって阻害されたものと考えられた。また、COS-1細胞、L細胞では変異型Kv4.2とKChIPの共発現はERから細胞膜への移行を促すという結果が得られた。ただし定量的な解析ではないため、移行促進の程度は不明である。これらの結果から、EGFPを付加した変異体は少なくとも細胞膜への発現において野生型同様の性質を保持していると考えられた。
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