研究課題/領域番号 |
20590227
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
佐々木 和男 富山大学, 理工学研究部, 教授 (60042826)
|
研究分担者 |
磯部 正治 富山大学, 理工学研究部, 教授 (70211050)
中島 一樹 富山大学, 理工学研究部, 准教授 (50207776)
|
キーワード | ストレス / 脳・神経 / みどりの香り / セロトニン / ドーパミン |
研究概要 |
物理的侵害ストレス(電撃によるfoot-shock stress)を受けるラットの情動反応が周りの侵害ストレスを受けていないラットに伝播・影響し、心理的情動ストレスを与えることが知られている。そこで、心理的情動ストレスを受ける自由行動下ラットの視床下部外側野(副交感神経系の中枢)において、セロトニン及びドーパミンの代謝産物量がどのように変化するかをin vivo microdialy sis法とHPLC法で調べると共に、それら変化に対する緑葉の香気成分「みどりの香り」(青葉アルデヒド)の作用について検討した。ラットはWistar系雄7週齢で、実験はラットをコミュニケーションボックス内の150mm×150mmの区画に留置して行ったFoot-shockは床のグリッドから50分の間、30秒毎に2mAの電流を1秒流して与えた。心理的情動ストレスを受けるラットの床グリッド上にはアクリル板を置き電撃が避けられるようにすると共に、周りには4匹のfoot-shockストレスを受けるラットを配置した。青葉アルコールは心理的情動ストレスを受けるラット区画内にテフロンチューブで導入し、濃度は3%、流量は5.51/minであった。対照には青葉アルコールの溶媒であるTriethyl citrateを用いた。心理的情動ストレスを受けたラットのセロトニン代謝産物(5-HIAA)及びドーパミン代謝産物(DOPAC及びHVA)はストレス負荷後次第に増加し、約1時間で120%に達し、少なくとも2時間その値をほぼ維持した。一方、心理的情動ストレス負荷ラットを青葉アルコールの環境下に置くと、5-HIAAの動態は余り変化しなかったが、ストレス後のDOPAC及びHVAの増加は有意に抑制された。これらの結果は、緑葉の香気成分が、脳の神経活動に影響すること、また心理的情動ストレスによるドーパミン神経の活動亢進を抑制することを示唆する。
|