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2010 年度 実績報告書

起立体性低下における前庭系の関与

研究課題

研究課題/領域番号 20590228
研究機関岐阜大学

研究代表者

森田 啓之  岐阜大学, 医学系研究科, 教授 (80145044)

キーワード過重力環境 / 前庭-血圧反射 / 可塑性 / 体動制限
研究概要

過重力環境では,前庭系は定常的に大きな入力に曝されることになる。また,過重力環境では体重が重力倍になり,活動が減少する。従って,過重力環境で起こる前庭系の可塑性の原因として,以下の2つを考える必要がある。1)定常的に大きな入力に曝されることにより,受容器レベルでdownregulationが起こる;2)体動に伴うphasicな前庭系への入力が減少し,use-dependent deteriorationが起こる。後者の可能性を調べるため,1G環境下で体動を制限して飼育することにより,過重力環境下と同じ様な前庭-血圧反射の可塑性が起こるかどうかを調べた。頭部に3軸の加速度センサーを装着して頭部の動き、即さ前庭系へのphasicな入力を測定すると,3Gの過重力環境下ではphasicな力が1G環境下の13%(過重力1日目)まで減少し,過重力14日目でも25%に減少した。また,立ち上がり回数も1G環境下での400~500回/日から,ほぼ0にまで減少した。この状態を模擬するため,屋根を低くして立ち上がりができないような環境で2週間ラットを飼育し(Roof群),前庭-血圧反射を比較した。前庭-血圧反射は,前一後,左-右の直線加速(2G)に対する昇圧応答の大きさで評価した。1口G群では,前方加速により27±1mmHg,後方加速により18±1mmHg,左方加速により25±1mmHg,右方加速により24±1mmHgの昇圧応答が見られた。これらの昇圧応答はRoof群および3口G群では有意に抑制された。一方,前庭系を介さない昇圧応答(air-jet)は3群間で差はなかった。以上の結果より以下の3点が明らかになった。1)過重力環境下では,日常の立ち上がり回数が抑制され,前庭へのPhasicな入力が減少する。2)過重力環境で2週間飼育することにより,前庭一血圧反射の調節力が低下する。3)屋根を低くした環境で立ち上がりを抑制して2週間飼育すると,過重力環境でみられたと同様の前庭一血圧反射の調節力低下が引き起こされる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Vestibular-mediated increase in central serotonin plays an importantrole in hypergravity-induced hypophagia in rats2010

    • 著者名/発表者名
      Abe C, Tanaka K, Iwata C, Morita H
    • 雑誌名

      Journal of Applied Physiology

      巻: 109 ページ: 1635-1643

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Restriction of rear-up behavior-induced attenuation of vestibulo-cardiovascular reflex in rats2010

    • 著者名/発表者名
      Abe C, Shibata A, Iwata C, Morita H
    • 雑誌名

      Neuroscience Letters

      巻: 484 ページ: 1-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mobility of a gas-pressurized elastic gloves for extravehicular activity2010

    • 著者名/発表者名
      Tanaka K, Abe C, Iwata C, Yamagara K, Murakami N, Tanaka M, Tnaka N, Morita H
    • 雑誌名

      Acta Astronautica

      巻: 66 ページ: 1039-1043

    • 査読あり
  • [学会発表] 前庭-血圧反射の可塑性とその対策2010

    • 著者名/発表者名
      森田啓之
    • 学会等名
      日本宇宙航空環境医学会
    • 発表場所
      所沢
    • 年月日
      2010-11-12
  • [学会発表] Functional interaction between baroreflex and vestibulo-sympathetic reflex upon head-up tilt2010

    • 著者名/発表者名
      Morita H, et al.
    • 学会等名
      Experimental Biology
    • 発表場所
      Anaheim
    • 年月日
      2010-04-26

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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