研究課題/領域番号 |
20590230
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
森本 恵子 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (30220081)
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研究分担者 |
鷹股 亮 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (00264755)
上山 敬司 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50264875)
吉田 謙一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40166947)
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キーワード | 精神性ストレス / エストロゲン / 閉経後女性 / 閉経モデルラット / 酸化ストレス / 血圧調節 / 血管収縮反応 / 性差 |
研究概要 |
1. 閉経前・後の中年女性における精神性ストレス時の血管反応と酸化ストレスの関連(Vitamin C投与の効果) 閉経前・後女性12名(各6名)を対象に、精神性ストレス時の酸化ストレスの変動と末梢血管反応との因果関係を検討する目的で、酸化ストレス抑制効果のあるVitamin Cを5日間経口投与後にカラーワードテスト(CWT)による精神性ストレス負荷を行なった。閉経前・後の女性ともに、CWTによる血圧・心拍数増加反応にはVitamin C非投与と投与の間に差は見られなかった。一方、閉経後女性では、Vitamin Cの投与後にCWTによる上腕動脈内径の減少が抑制され、一酸化窒素代謝物の血中濃度の上昇が見られた。しかし、閉経前女性では、このVitamin Cによる効果は認められなかった。以上より閉経後女性のCWTによる上腕動脈内径減少には酸化ストレスの関与が示唆された。 2. 閉経モデルラットを用いた精神性ストレス時の酸化ストレス増大と血圧反応の因果関係とエストロゲンの作用の検討 成熟雌ラットを9週齢で卵巣摘出後、プラセボ群とエストロゲン補充群の2群(各群7匹)に分けた。実験2週間前に腹部大動脈にカテーテルを留置し、テレメトリーシステムによる血圧・心拍数の連続測定下で、17週齢でケージ交換ストレスを負荷した。その際の、血圧、心拍数上昇反応はプラセボ群よりエストロゲン補充群では抑制されていた。しかし、NADPHオキシダーゼ阻害薬のApocyninやAngiotensinタイプI受容体拮抗薬のLosartanを実験3日前より経口投与することによって、このエストロゲンによる拡張期血圧・心拍数の抑制効果は消失した。さらに、活性酸素スカベンジャーであるTempolの前投与により、収縮期・拡張期圧の上昇反応におけるエストロゲンの抑制効果が減弱した。以上の結果より、卵巣摘出ラットに対するエストロゲン補充は、ケージ交換ストレスによる血圧・心拍数上昇反応を抑制するが、そのメカニズムとして、活性酸素の抑制を介して作用することが示唆された。
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