研究課題/領域番号 |
20590231
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
紫藤 治 島根大学, 医学部, 教授 (40175386)
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研究分担者 |
松崎 健太郎 島根大学, 医学部, 助教 (90457185)
片倉 賢紀 島根大学, 医学部, 助教 (40383179)
橋本 道男 島根大学, 医学部, 准教授 (70112133)
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キーワード | みどりの香り / コルチゾール / ACTH / Stroop Color-Word Test |
研究概要 |
本年度はメンタルストレスに対する生理的応答にみどりの香りが与える影響を継続し、被験者の例数を増加するとともに室内のみどり香りの濃度を測定した。自発的に研究への協力を申し出、書式の同意書を提出した健康な成人男子を被験者とした。被験者は実験1週間以上前から、就寝・起床などの生活パターンを一定とし、生体リズムの安定を図った。この間、薬物の摂取、強度の運動は行わせなかった。実験当日、被験者は短パンTシャツのみを着用し、環境温25℃、相対湿度50%で照度、換気量を一定にコントロールした恒温恒湿室に入室した。各種センサーを装着し、20分以上安静座位を保った後、採血を行った。さらに、10分以上安静を保った後、みどりの香り(cis-3-hexenol 0.03% w/wとtrans-2-hexenal 0.03% w/wの混合溶液)を噴霧した状態あるいはみどりの香りの溶媒のみを噴霧した状態で6分ごと3セットのStroop Color-Word Testをメンタルストレスとして負荷した。Color-Word Test終了後、再度採血を行った。メンタルストレスの負荷により、手掌部発汗量が増加し、指先部皮膚温が低下した。また、Htの上昇、血漿タンパク量の増加、血漿中性脂肪量の低下が起きた。血漿コルチゾールおよびACTHレベルは増加する傾向にあった。血漿のカテコールアミン量には一定の変化は無かった。みどりの香り存在下ではメンタルストレスによる手掌部発汗量の増加と指先部皮膚温の低下が有意に抑制された。血漿ACTHとコルチゾールレベルの変化は小さくなった。これら結果は、みどりの香りがメンタルストレスへの生理的な応答を抑制することを示し、ヒトのストレスを緩和する可能性を示唆する。また、今回のみどりの香りの噴霧による空気中濃度はcis-3-hexenol、trans-2-hexenalとも測定限界以下(それぞれ20ppmと0.1pm)であった。
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