研究概要 |
生物は内因性の時計を持ち、概日(約24時間)リズムを形成している。リズム発現に必要で充分な要素が既に出生前に発現する可能性があり、また細胞周期と概日リズムは時計関連遺伝子産物を介して密接に関連している事を私どもは報告してきた。そこで、本研究では胎生幹細胞(ES細胞)に着目し、時計遺伝子発現と細胞周期調節因子の関連性を検討した。胎生期(E)14日目のラット脳から生後に視交叉上核(ほ乳動物の時計の中枢)となる部位(P2)の細胞を採取し、浮遊培養法で細胞(NSE)を維持し継時的に細胞を採取した。各試料につきMicroarrayを実施し、代謝に関係する遺伝子群(537genes)のCluster解析を行ったところ9:00,21:00 groupと3:00,15:00 groupに近縁性を認める2峰性が得られた。Passage 2回目(生後2~3日目に相当)から得られた細胞が生後のcirca-semedianに発展するのか、もしくは1峰性のcircadianに進化するのかは生後のリズム発現機構を知る上で重要かヒントとなると考える。Wee1 mRNAとp53のリズムはBmal1 mRNAのリズムと逆位相関係にあることが今回のNSEで確かめられた。Weeのリン酸化活性はWee1 mRNAのリズムの頂値出現時刻同一であった。しかし、Bmal1タンパクの概日リズムは今回のNSCでは認められなかった。このことはNSEのリズムはadultでの発現機構とは多少異なる様相を示す可能性がある。今回の結果を含め、これまでのデータを論文にまとめる予定。
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