研究課題/領域番号 |
20590245
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
古川 賢一 弘前大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (20165468)
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研究分担者 |
瀬谷 和彦 弘前大学, 大学院・医学研究科, 助教 (40281919)
沼沢 拓也 弘前大学, 大学院・医学研究科, 助教 (80396407)
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キーワード | 脊柱靱帯骨化症 / 異所性骨化 / 細胞外ATP受容体 / 幹細胞 / gremlin / BMP2 / P2Y1 / 過剰発現 |
研究概要 |
今回の研究で2つの重要な知見が得られた。 1)我々は、脊柱靱帯組織由来の細胞に骨化促進刺激であるメカニカルストレスを掛けるとATPが遊離すること、骨化靱帯組織由来の細胞(OPLL)では正常の細胞(非OPLL)に比べて細胞外ATP受容体P2Y1を高発現していることから、P2Y1が靱帯の異所性骨化に関与する可能性を示唆していた(Sawada et al.2008;106:152-161)。そこで今回はP2Y1を脊柱靱帯細胞に過剰発現させ、より直接的に異所性骨化へのP2Y1の関与を検討した。OPLL、非OPLLの両細胞にP2Y1を過剰発現させることができたが、その結果、OPLL細胞では骨化関連遺伝子の発現が著明に増大し、それはP2Y1拮抗薬の添加により強く抑制された。しかし非OPLL細胞では変化が認められなかった。またP2Y1を強制発現させた細胞を数日間培養すると、OPLL細胞でのみミネラル沈着(石灰化)が認められた。以上の結果はP2Y1がOPLL細胞の環境内で骨化促進的に機能することを示す(Calcif Tissue Int 2011:88:263-271)。脊柱靱帯骨化の機序において、臨床上重要と考えられるメカニカルストレスが骨化を促進することを分子レベルで説明できた点で重要な成果といえる。 2)異所性骨化は内因性骨化抑制因子の機能不全によるという仮説を検証するため、脊柱靱帯細胞での骨化抑制因子の発現をスクリーニングしたところ、gremlinという蛋白質の発現が非OPLL細胞に比べてOPLLで有意に減少していることを見いだした。そこでgremlinをOPLL細胞に添加したところ、骨化関連遺伝子の発現が有意に減少した。このことは仮説を強く支持する。今後はgremlinの発現が低下する機序についてさらに検討を加える予定である。
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