研究概要 |
本研究は、生理活性ペプチドにはC末端部アミドを持つ例が多いことに注目し、ヒトゲノムDNA配列情報より、すべてのアミド型のGPCRの新規生理活性ペプチドリガンド探索を行う。 1.ロドプシン型受容体βグループに属するオーファン受容体遺伝子9個(アミド型受容体6種類;GPR19、GPR72、GPR75、GPR150,GPR176、BRS3、非アミド型受容体3種類;GPR37、GPR37L1、GPR39)をHEK293細胞に安定発現させたもの(タグなし)を作製した。また、N末端部にmycタグを導入し、3個の受容体については細胞表面に発現することを確認し、新規リガンドのスクリーニングに使用した。 2.スクリーニング系として、fura-2/AMを用いた細胞内Ca^<2+>濃度変化を追跡した。 3.昨年度までに、ヒトゲノムデータベース等のBankに登録されたDNA配列(33,119個)の情報から、独自に開発したコンピューター検索ソフトにより、C末端部にアミドを持つ生理活性ペプチド候補(352個)を予測抽出し、そのうち約200個化学合成した物をアミド型活性ペプチド候補として用いた。EC50値が数10μM濃度の活性は検出したが、nM濃度のペプチド性活性を持つ物を検出できなかった。 4.一方、ブタ脳抽出物から上記のオーファン受容体9個を発現するHEK293細胞および種々のガン細胞の内在性の受容体を用いてスクリーニングを試みた。活性ペプチドとして、ニューロメジンB、ニューロメジンC,エンドセリン-3、複数のCCK関連ペプチド、ニューロテンシン、CGRP、サブスタンスP、ニューロキニンAとBなどを単離して構造決定したが、既知の生理活性ペプチドであった。 5.現在、ロドプシン型受容体βグループ以外のオーファン受容体の遺伝子を取得し、HEK293細胞に安定発現させたものを作製してスクリーニングを継続中である。
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