研究課題/領域番号 |
20590256
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
岩田 和実 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (60305571)
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研究分担者 |
松野 邦晴 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (50420708)
筧 朋子 京都府立医科大学, 医学部, プロジェクト研究員 (20433279)
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キーワード | 原発性肺高血圧症 / 活性酸素種 / NADPH oxidase / NOX1 / 遺伝子欠損マウス / 肺動脈平滑筋細胞 |
研究概要 |
原発性肺高血圧症は肺動脈の肥厚から肺動脈圧上昇、右心肥大、心不全へと進行する難治性疾患である。肺高血圧症の発症機序は不明であるため根治的な療法は未だ確立されていない。申請者は活性酸素種(ROS)の産生酵素として近年注目されているNADPH oxidaseの触媒サブユニットNOX1の遺伝子欠損マウス(NOX1-KO)の右心室が著明に拡張していることを見出した。心カテーテルを用い右心室の機能について検討したところ9週齢以降のNOX1-KOにおいて異常が認められ、また肺動脈肥厚も同様に9週齢以降において認められた。肺高血圧症の発症に肺動脈平滑筋細(PASMC)のターンオーバー異常が関与することが知られている。21年度の検討によりNOX1-KO由来PASMCの培養細胞では細胞増殖能およびアポトーシスに野生型マウス由来PASMCと差違が認められた。肺高血圧症患者のPASMCでは電位依存性カリウムチャネルの一つであるKv1.5の発現低下が、細胞のアポトーシスの抑制を誘導することが知られている。NOX1-KO由来PASMCにおいてKv1.5の発現が低下とともに細胞内のカリウム濃度の上昇していることを見出した。また電位依存性カリウムチャネルの阻害薬はPASMC細胞内のカリウム濃度の上昇とともにアポトーシスを抑制した。NOX1を高発現するトランスジェニックマウス(NOX1-TG)とNOX1-KOを交配し、外因的にNOX1を導入したところ、NOX1-KOの右心室肥大および肺動脈の肥厚は抑制された。以上からNOX1の活性の低下はKv1.5の発現低下を介した細胞内カリウム濃度の上昇を引き起こし、その結果アポトーシスの抑制により肺動脈を肥厚させると考えられる。
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