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2009 年度 実績報告書

心肥大における心筋代謝機能とその制御分子に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20590257
研究機関大阪市立大学

研究代表者

泉 康雄  大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (10347495)

キーワード心血管 / 代謝機能 / シグナル伝逹
研究概要

カニクイザルにエピネフリンを反復(Dayl, Day2)投与することにより、ヒトたこつぼ型心筋症に極めて類似した心不全モデルを作製することに成功した。エピネフリン投与中に心筋梗塞に似た心電図変化や様々な不整脈が認められ、突然死を呈するものも認められた。エピネフリン最終投与後24時間(Day3)で行った心臓超音波検査では、左心室基部は正常壁運動を示したのに対して、心尖部領域では著明な壁運動低下を求めた。1ヵ月後には正常マウスの80%程度にまで心機能(駆出率)は改善した。
心不全の治療に用いられるβ受容体遮断薬(メトプロロール)をDay3に投与すると、その後の駆出率改善が促進された。Day4において、左心室を基部・中部、心尖部に分けて取り出し、壁運動正常の基部領域と壁運動低下の心尖部領域からRNAを抽出し、遺伝子変化を調べた。マイクロアレイ法では、心尖部においてエピネフリンにて2倍以上発現が増加した遺伝子が約2000、0.5倍以下に低下した遺伝子が約500見つかった。基部に比べて心尖部ではエピネフリン投与によって発現が変動する遺伝子が多いこともわかった。脳性利尿ペプチドやオステオボンチンなどの心不全関連遺伝子、リアノジン受容体2などのカルシウムシグナル関連遺伝子、アンジオテンシノーゲンやアンジオテンシン受容体などのレニンアンジオテンシン系関連遺伝子、チトクロームCやミトコンドリア転写因子Aなどのミトコンドリア機能関連遺伝子等の発現がエピネフリンにより心尖部のみで大きく変動し、その一部はメトプロロール投与により、改善あるいは改善傾向を示した。また、エピネフリンで認められた心尖部領域の心筋障害は、メトプロロール投与にて改善した。このモデルはたこつぼ型心筋症あるいは心不全に対するβ受容体遮断薬療法の薬理機序を明らかにする上で重要なツールとなると考えられる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Effects of metoprolol on epinephrine-induced Takotsubo-like left ventricular dysfunction in non-human primates.2009

    • 著者名/発表者名
      Yasukatsu Izumi
    • 雑誌名

      Hypertens Res 32巻

      ページ: 339-346

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Pravastatin accelerates ischemia-induced angiogenesis through AMP-activated protein kinase.2009

    • 著者名/発表者名
      Yasukatsu Izumi
    • 雑誌名

      Hypertens Res 32巻

      ページ: 675-679

    • 査読あり
  • [学会発表] Pravastatin accelerates ischemia-induced angiogenesis through AMP-activated protein kinase.2010

    • 著者名/発表者名
      泉康雄
    • 学会等名
      第74回日本循環器学会学術集会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2010-03-06
  • [学会発表] カニクイザルを用いたタコツボ心筋症モデル作製とβ遮断薬の効果2009

    • 著者名/発表者名
      泉康雄
    • 学会等名
      第19回日本循環薬理学会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2009-11-27
  • [学会発表] Heat shock cognate protein 70(Hsc70)はAktを介した血管新生に関与する2009

    • 著者名/発表者名
      泉康雄
    • 学会等名
      第32回日本高血圧学会総会
    • 発表場所
      大津
    • 年月日
      2009-10-02
  • [学会発表] 血管新生におけるプラバスタチンの効果2009

    • 著者名/発表者名
      泉康雄
    • 学会等名
      第115回日本薬理学会近畿部会
    • 発表場所
      金沢
    • 年月日
      2009-06-26
  • [図書] 高血圧(上)(下)-日本における最新の研究動向2009

    • 著者名/発表者名
      泉康雄
    • 総ページ数
      計10
    • 出版者
      日本臨床

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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