β-アドレナリン受容体(β-受容体)は、現在、β_1-β_3の少なくとも3つのサブタイプに分類されている。β-受容体は、血管平滑筋にも発現しており、その弛緩機能調節に重要な役割を担っていると考えられている。本研究では、これまで行ってきた導管動脈(胸部大動脈)でのβ-受容体サブタイプに関する研究を細動脈において展開させ、β-受容体各サブタイプの部位特異性ならびに加齢の影響の解明を目指した基礎的検討をラット腸間膜動脈を用いて行い、以下の新知見を得た。 13種類のカテコラミン(イソプレナリン・アドレナリン・ノルアドレナリン)の弛緩効力の順位を求め、β_1-受容体に対する順位(イソプレナリン>アドレナリン=ノルアドレナリン)と一致することを明らかにした。 2イソプレナリンの弛緩作用に対するプロプラノロールの影響を検討し、プロプラノロール感受性サブタイプならびにプロプラノロール非感受性サブタイプの存在の可能性を明らかにした。 3プロプラノロール感受性β-受容体サブタイプの同定を、β_1-、β_2-選択的遮断薬を用いて試み、β_1-受容体の発現が優位である可能性を明らかにした。 4プロプラノロール非感受性サブタイプの薬理学的性質については、現在検討を進めている。 5RT-PCR法によるmRNAの発現測定を行い、大動脈標本におけるβ_2-受容体とβ_3-受容体の発現を、また、腸管膜標本におけるβ_1-受容体とβ_3-受容体の発現を明らかにした。
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