研究概要 |
申請者は、PRL分子の多様性に関する研究において、今回、マクロプロラクチン血症の病態、生理について1)マクロプロラクチン血症は健常成人のおよそ30人に1人と非常に高頻度に見られる疾患である事、2)男女差はなく、加齢とともに頻度が増加する事、3)マクロプロラクチンの割合と血中PRL値が正に相関し、マクロプロラクチンが高PRL血症の原因である事、4)マクロプロラクチンのすべてにIgG-PRL複合体が検出され、その75%にPRL自己抗体が陽性である事が明らかとなった(Clinical Endocrinology 2009, in press)。PRL分子の多様性の研究において、自己抗体やリン酸化以外に、PRLがペプチダーゼ(cathepsin Dやmatrix metalloproteinase)によって切断されて生じる16kDa PRL N端フラグメントが最近注目されている。最近の研究により、16kフラグメントは、もとの全長PRLとは極めて異なった生物作用を有する事が明らかとなっている。免疫系において、全長PRLはTh1、Th2サイトカイン分泌を刺激し、IL-2受容体発現を促進する事が知られているが、免疫系における16Kフラグメントの作用、分泌調節などは明らかにされていない。 今回、免疫細胞における16kフラグメントの存在及び分泌調節を検討する目的で16kフラグメント特異的抗体の作製を試みた。16Kフラグメント特異的生物作用に関与するとされるペプチド配列は疎水性が高く、外部委託で合成ができなかった。そのため、ペプチド合成を他の外部機関に委託すると同時に、大腸菌での合成を試みた。ラット脳下垂体からRNAを抽出し、RT-PCRにより全長PRL cDNAを得た。PRL蛋白をpGEXシステムにて合成し、cathepsin Dにて分解して16K PRLを得る実験が進行中である
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