血管系は、がん治療、虚血性疾患、さらには糖尿病の合併症においても最も重要な治療ターゲットの一つであり、血管の新生と抑制のバランスの分子基盤を理解することは、学問的に価値あるばかりでなく、それらの疾患に対する新たな分子薬剤の創出に繋がるものであり、医学的にも産業的にも大変価値が高いと考えられる。そこで、胚発生時および腫瘍血管新生に於けるPLVAPとSH2関連遺伝子の遺伝子の解明することで、再生医学や癌治療に対する新たな手法を見いだせるものと考え、(1)胚発生時ににおけるPLVAPとSH2関連遺伝子の役割、(2)培養血管内皮細胞におけるにおけるPLVAPとSH2関連遺伝子の役割、(3)腫瘍血管新生におけるPLVAPとSH2関連遺伝子の役割を明らかにする事を目的とした研究を行う。H20年度では、(1)PLVAPとSH2関連遺伝子のターゲティングベクターの作製を完了し、H21年度に遺伝子改変ES細胞の取得を試みたが、ES細胞を得ることは出来なかった。(2)PLVAPとSH2関連遺伝子のノックダウンベクターを作製し、HUVEC(Human umbilical vein endothelial cell)での管腔形成実験を行ったところ、管腔形成能が著しく低下していることを見出した。(3)動物個体を用いた腫瘍血管新生のモデル実験であるマトリゲルプラグアッセイの条件検討を終了した。また、PLVAPとSH2関連遺伝子について、ヒト神経膠腫、アストロサイトーマでの発現を検討し、ともに高発現していることを同定した。
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