研究概要 |
我々は今まで、エンドセリン-1(ET-1)/エンドセリンA受容体(ETAR)のシグナルが、形態形成においては神経堤細胞由来組織の形成、特に下顎のアイデンティティーを決定することをノックアウトマウスを用いて証明してきた。また、Cre-変異loxを用いた。 Recombinase mediated cassette exchange(RMCE)によるノックインの系を構築し、ETAR遺伝子座にETARcDNAを入れると完全に表現型がrescueされるが、エンドセリンB受容体cDNAでは一部のみしかrescueされず、inVitroでの知見とは違い生体内ではA受容体とB受容体は互換性がなく、下顎ではGq/11を介したシグナルが使われていることを示してきた。(Development135:755-765,2008)さらにET-1の誘導で上顎を下顎に変換させること示した(PNAS105:18806,2008)。 下顎において、ET-1シグナルの下流に位置するmI56iエンハンサー領域、evf2遺伝子へのシグナル伝達機序を明らかにするために、この領域における各種核転写因子の作用と認識配列を明らかにした。さらにエピジェネティック修飾の一つとしてDNAメチル化を評価したところ、胎仔肢芽、尾、ES細胞では30%〜60%メチル化されており、鯉弓では野生型もホモ接合体もほぼ脱メチル化していたことより、胎生10.5日の鯉弓ではこの領域の染色体は転写促進の方向にあることが示唆された。 また現在、RMCEによりETARプロモーター下にDlx5,Dlx6,evf2等をノックインしたマウスの作成に成功し、ホモ接合体の解析を始めたところである。
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