研究概要 |
AIDの遺伝子Aicdaを含む約190Kbのバクテリア人工染色体を改変し、AIDの代わりにCreとヒトCD2をレポーターとして発現するコンストラクトを作製した。さらに、Aicda遺伝子発現制御にエンハンサー及びサイレンサーとしての活性をin vitroルシフェラーゼレポーターアッセイで同定したAicda領域のエレメントが、実際にin vivoでも重要な役割を果たすかどうか確認する事を目的に、上流領域のSTAT6,NF-kB,Smad3/4,C/EBP結合サイト群と、第一イントロンに存在するc-Myb,E2f,Pax5,E-proteinの結合サイトに変異を持つ巨大コンストラクトを4種類作製した。それらと制御領域には改変の無いコントロールと合わせて5種類のトランスジェニソク動物を作出し、それぞれをRosaレポーターマウスと掛け合わせてその発現を検討した。その結果上流域のエレメントの欠損によりAicdaの発現は全く見られなくなること。また、その中でもC/EBP結合サイト単独の欠損で発現喪失は起こること。第一イントロンにある調節エレメントは、エンハンサー及びサイレンサー両方を含むと考えられるが、全体の欠失では発現の喪失が起こる事、逆にサイレンサー部分を選択的に欠損させると、発現細胞の比率が高まる事が明らかになった。これらの知見はin vitroレポーターアッセイで強く示唆されたエンハンサー・サイレンサーバランスによるAicda発現の制御メカニズムがin vivoで確かに働いて居ることを強く示している。この事はAIDの異所性発現による細胞腫瘍化への関与が起こるメカニズムを理解する上で重要である。
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