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2010 年度 実績報告書

Myocardinファミリーの機能制御機構と細胞形質転換

研究課題

研究課題/領域番号 20590279
研究機関大阪大学

研究代表者

林 謙一郎  大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90238105)

研究分担者 祖父江 憲治  大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20112047)
キーワード平滑筋細胞形質転換 / myocardin / MRTF-A/B / 核移行 / importin α/β1 / basic domain / G-actin
研究概要

SAPドメインを有する転写因子、Myocardin (Mycd) family (Mycd及びMRTF-A/B)は転写因子serum response factor (SRF)の補助因子として働く。Mycdが恒常的に核局在するのに対し、MRTF-A/Bは細胞質に存在し、Rhoシグナルの活性化に依存して一過性に核に集積する。昨年度までの研究で、MycdのN末端に存在するbasic amino acid-rich domain (NB, 98-103aa)が核移行シグナルとして働き、Mycd・importin α/β1三量体を形成し核移行することを明らかにした(NBがimportin α/β1の結合部位)。また、MRTF-A/Bの核移行にもNBが必要で、Mycdと同様にNBを結合部位としてimportin α/β1と三量体を形成するが、Mycdと比較してimportin α/β1に対する親和性は極めて低い。また、血管平滑筋細胞内で発現しているimportin α subtypeを解析した結果、importin α1, α2, α4が主要なimportin α subtypeであること及びMyedはimportin α1と最も強い親和性を示すことを見出した。さらに、G-actinに対して高い親和性を持つMRTF-A/BではG-actin存在下ではこの三量体形成が著明に阻害されるが、G-actinに対する親和性が極めて弱いMycdではこの阻害効果は全く認められない。これら一連の解析から、Mycd familyの細胞内局在の相違がimportin α/β1に対する親和性に依存することとMRTF-A/Bの核集積がactin dynamicsの影響を受けるのはG-actinによるMRTF-A/B・importin α/β1三量体形成阻害によることを明らかにした。今年度の研究では、血管平滑筋細胞におけるMycdの核移行に関わるimportin α1/β1の発現が血管平滑筋細胞の形質依存性に制御されることを見出した。即ち、分化型平滑筋細胞ではMycd, SRF及び平滑筋マーカーの発現が増強されるのに伴い、importin α1/β1の発現も亢進する。逆に、脱分化平滑筋細胞ではMycd、SRF及び平滑筋マーカー遺伝子の発現低下を来たすが、これらと連動してimportin α1/β1の発現も低下する。これは核内移行制御因子の発現が血管平滑筋細胞の形質に依存して変化し、血管平滑筋細胞分化と密接に関わることを示唆している。この知見は、細胞分化研究に新為な視点を与え、今後、大きく発展する可能性がある。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Nuclear import mechanism for myocardin family members and their correlation with vascular smooth muscle cell phenotype2010

    • 著者名/発表者名
      Nakamura S, Hayashi K, Iwasaki K, Fujioka T, Egusa H, Yatani H, Sobue K.
    • 雑誌名

      J.Biol.Chem.

      巻: 285 ページ: 37314-37323

    • 査読あり
  • [学会発表] マイオカルディンはヒト平滑筋肉腫細胞において細胞増殖抑制と分化誘導に効果的な因子として働く2010

    • 著者名/発表者名
      木村泰典、森田強、林謙一郎、三木恒治、祖父江憲治
    • 学会等名
      第69回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2010-09-22
  • [学会発表] myocardinファミリーの核内移行メカニズム2010

    • 著者名/発表者名
      中村誠志、林謙一郎、岩崎一洋、江草宏、矢谷博文、祖父江憲治
    • 学会等名
      第62回日本細胞生物学会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2010-06-21

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公開日: 2012-07-19  

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