研究課題
肝臓は自己再生能力の強い臓器であるが、繰り返される肝細胞の損傷と修復は、結果的に肝炎を肝硬変へと至らしめる。現在この修復のメカニズムに関し、残存する未分化肝細胞(肝幹細胞)の増殖分化が考えられる。本年度は、Creアデノウイルスベクターを用いてBMPR1A-フロックスマウスにおいて肝臓特異的にノックアウトし、さらに、BMPR1Aのドミナントネガティブ発現アデノウイルス投与によりBMPシグナルを遮断することで、BMPの肝障害に対する役割を解析した。その結果、RT-PCR解析や免疫組織化学により、BMP4の発現細胞はクッパー細胞であると考えられ、その発現細胞数は四塩化炭素投与後24時間ではコントロールマウスよりBMPR1A KOマウスでは少なく、四塩化炭素投与後24時間でのグリソン鞘のオーバル細胞の増殖マーカーki67陽性細胞数はコントロールマウスよりBMPR1A KOマウスのほうが増加していた。72時間後ではBMPR1A KOマウス肝障害の修復の遅延も観察された。これらの結果からマウス四塩化炭素肝障害において、BMP4はクッパー細胞から分泌され、オートクライン的に働き、BMP4自体を発現促進している。さらにBMPシグナルはオーバル細胞の増殖の制御に関与することが示唆された。
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Am J Physiol Heart Circ Physiol 297
ページ: 1329-1336
J.Biochem. (印刷中)