研究課題
筋収縮はアクチンとミオシンの相互作用により生ずるが、これらの繊維が規則正しく整列した筋節(サルコメア)と、それが連なった筋原繊維(myofibril)の形成過程の分子機構には不明な点が多い。本研究の目的は、筋原繊維形成のためのアクチン重合機構が筋の発生過程や筋組織維持において果たす役割の解明である。申請者が単離してその機能解析を行ってきたアクチンの核化・重合促進因子として機能するformin相同蛋白質FHODには、FHOD1/Fhos1とFHOD3/Fhos2の二つが存在する。FHOD1は骨格筋、FHOD3は心筋にそれぞれ強く発現し、サルコメア・パターンをとって筋原繊維に局在している。本年度は、まずFHOD3の心筋でのサルコメア・筋原繊維形成における役割を知るために、ラット初代心筋培養細胞でFHOD3をノックダウンしてその効果を詳細に検討した。その結果、心筋培養細胞におけるサルコメア形成に、FHOD3が重要な役割を果たすことを明らかにした。さらに、このサルコメア形成におけるFHOD3の働きに必須のアミノ酸残基を同定した。同時に、FHODの精製蛋白質を用いたin vitroアクチン重合アッセイの確立を目指して、蛋白質発現系や重合能測定系の改良などを進めた。また、個体レベルでのFHODの果たす役割を明確にするためにすすめている、FHOD1およびFHOD3ノックアウトマウスの作出も順調に進行しており、今後FHODによる細胞骨格の制御機構解明の全容解明に向けて、大きな進展が期待される。
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