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2008 年度 実績報告書

スフィンゴシン-1-リン酸情報伝達系の生体における病態生理学的役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20590288
研究機関石川県立看護大学

研究代表者

多久和 典子  石川県立看護大学, 健康科学講座, 教授 (70150290)

キーワード生理活性脂質 / スフィンゴシン-1-リン酸 / G蛋白共役型受容体 / 腫瘍血管新生 / 低分子量G蛋白 / 細胞遊走 / 血管内皮 / ノックアウトマウス
研究概要

スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)は血液細胞・血管内皮細胞が産生する生理活性脂質であり、血漿中に存在する。G蛋白共役型受容体の複数のサブタイブを介して多彩な生物活性を発揮する。我々自身を含めたこれまでの国内外の研究により、S1P_1受容体が低分子量G蛋白Rac活性化を介して細胞遊走促進、がん血管新生促進を仲介することが明らかにされた。一方、我々の同定したS1P_2受容体は、S1P_1とは対照的にRac活性化を抑制し、細胞遊走を抑制することをこれまで明らかにしてきた。本研究では、我々が作出したS1P_2ノックアウトマウスと同腹野生型マウスを用い、以下の知見が明らかとなった。(1)LLCならびにB16BL6腫瘍細胞を皮下移植し、腫瘍の成長と血管新生を比較検討したところ、KOマウスにおいて血管新生と腫瘍の増大がともに促進されることを見出した。さらに、KOマウスの腫瘍血管は、周皮細胞・中膜平滑筋細胞の集積が野生型に比較して有意に促進されていることがNG2,desminの免疫組織染色により明らかとなった。また、FITC-dextran注入により実際血流のある機能している腫瘍血管がKOマウスにおいて増加していること、腫瘍細胞の増殖も有意に促進されていることが分かった。(2)皮下注入マトリゲルにおける血管新生を比較検討したところ、KOマウスにおいて有意に促進されていた。(3)腫瘍組織における数種類の血管新生関連遺伝子の発現がKOマウスにおいて促進されていた。(4)肺循環内皮細胞をMACS法により分離、培養し、そのRac活性化、細胞遊走、管腔形成能が亢進していることを見出した。以上から、担がん宿主内皮細胞のS1P_2受容体は腫瘍血管新生を負に制御することを明らかにした。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] G12/13 and Gq mediate S1P2-induced inhibition of Rac and migration in vascular smooth muscle in, a manner dependent on Rhobut not Rho kinase.2008

    • 著者名/発表者名
      Takashima S, Sugimoto N, Takuwa N, Okamoto Y, Yoshioka K, Takamura M. Takata S, Kaneko S, Takuwa Y.
    • 雑誌名

      Cardiovasc Res. 79

      ページ: 689-97

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A case report of a renal mixed epithelial and stromal tumor in a heterozygous S1P2 receptor deficient mouse.2008

    • 著者名/発表者名
      Takabatake M, Takuwa Y, Takuwa ti, Yasuno H. Matsumoto s. Shibutani M, Mitsumori K.
    • 雑誌名

      J Vet Med Sci. 70

      ページ: 483-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The lysophospholipld mediator sphingoslne-1-phosphate promotes angiogenesis in vivo in ischaemic hindlimbs of mice.2008

    • 著者名/発表者名
      Oyama o. Sugimoto N, Qi x, Takuwa N. Mizugishi K, Koizumi J, Takuwa Y.
    • 雑誌名

      Cardiovasc Res. 78

      ページ: 301-7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Sphingosine-1-phosphate signaling and biological activities in the cardiovascular system.2008

    • 著者名/発表者名
      Takuwa Y. Okamoto Y, Yoshioka K, Takuwa N
    • 雑誌名

      Biochim Biophys Acta. 781

      ページ: 483-8

    • 査読あり
  • [学会発表] Sphingosine-1-phosphate receptor-2 (S1P2)negatively regulates tumor growth and angiogenesis in vivo.2008

    • 著者名/発表者名
      Du W, Takuwa N, YoshiokaK, Okamoto Y, Asano M, Takuwa Y.
    • 学会等名
      第67回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20081000
  • [学会発表] 徐放化SIP製剤による虚血後血管新生の促進2008

    • 著者名/発表者名
      戚 〓, 村川智美, 尾山 治, 杉本直俊, 王 飛, 杜 娃, 吉岡和晃, 岡本安雄, 多久和典子, 水岸貴代美, 多久和 陽
    • 学会等名
      第50回日本脂質生化学会
    • 発表場所
      徳島
    • 年月日
      20080600

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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