研究概要 |
ポリADP-リボシル化の機能をさらに明確化するために、ポリADP-リボシル化を受けているアクセプタータンパク質を同定し、その修飾部位を同定する必要がある。従来、2,3のタンパク質がin vivoでポリADP-リボシル化を受けるとの報告があるが、さらに多くのタンパク質がポリADP-リボシル化を受けている可能性があるにもかかわらず同定されていないのは方法的な問題がある。我々は、この問題を解くために、ポリADP-リボースに対するモノクローン抗体をカラムに固相化させ、生化学的方法によりポリADP-リボシル化タンパク質を単離しつつあり、本年度はその方法の最終確立と、ポリADP-リボシル化タンパク質の同定を行うことを目的とした。以下の成果が得られた。 1) ポリADP-リボシル化タンパク質の抽出法の確立 昨年度までの研究により、0.5%SDSの入った溶媒による抽出が効果的であることがわかっている。さらに抽出効率を上げるために、7M尿素を用いて抽出効果の大幅に改善することができた。 2) ポリADP-リボシル化タンパク質の同定 3000匹のポリADP-リボース分解酵素のノックアウトショウジョウバエより上記の方法により抽出により得られた画分をポリADP-リボースに対する抗体カラムを用いて精製を行った。この画分を2つに分け、片方はそのまま、また片方は、1MNaOHで氷上で15分間処理を行った。それぞれを2次元電気泳動により分離した。アルカリ処理により移動度が変化したスポットを14個同定することができた。これを切り出し、質量分析装置にかけたが、シグナルが得られなかった。これは、質量分析装置の感度の問題もあるが、基本的にはショウジョウバエの使用量がまだ不足していると考えられた。そのため、さらに多くのショウジョウバエを用いた精製法を行えば、アクセプタータンパク質の同定が可能であるとの見通しが得られた。
|