研究概要 |
Giシグナルの血管発生に置ける役割の解明を目的としている。H21年度はGiシグナルを血管内皮細胞特異的に阻害するマウスを解析しその結果心内膜の間葉化にGiシグナルが重要であるとの知見を得た。 内皮の間葉化を解析する目的で試験管内で内皮細胞の間葉化を観察できる系を確立した。すなわち内皮細胞株F2細胞を低血清濃度で培養しつつTGFベータで刺激することで20-30%の細胞が7日後に間葉系のマーカーを発現した。 内皮細胞間葉化に重要でかつGiシグナルの下流にある遺伝子を検索するためアレイ解析を行い上記培養系でTGFベータあるいはGiシグナルの強力なアゴニストであるS1P(スフィンゴシンフォスフェイト)に反応する遺伝子を検索した。TGFベータに反応してTGFベータシグナルの調節因子の他いくつかの筋肉、間葉系の遺伝子が誘導されるのを認めた。S1P刺激に対しては6時間後の解析ではほとんどの遺伝子に変化がなく1-2時間で再度解析するなどの検討が必要と考える。ES細胞の内皮分化については分化誘導の培養条件の整備に努めた。とくに一旦Flk-1陽性に誘導した細胞の挙動を無血清培養下で観察できる事が可能になり今後、種々のG蛋白受容体アゴニストをテストする上でよいバックグラウンドになる。最近、リガンドが明らかになった内皮細胞に発現している受容体が2-3ありこれらのリガンドをFlk-1陽性細胞でテストしたい。 S1P欠損ESについては十分な数のマウスを確保したので最近可能になって来ているMEK,GSK3阻害剤を用いた方法も導入して確立する予定である。
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