研究概要 |
G蛋白シグナルの血管内皮細胞に置ける機能の解明を目的として研究を進めた。ES細胞からの内皮分化におけるSIPの役割を解析するためSIP合成酵素であるSpk1,2のダブルノックアウトESの樹立を試みた。該当するマウスは得られているがSpk2欠損メスが妊娠効率が悪いため現在のところ樹立にはいたっていない。 G蛋白シグナルに関わる内皮特異的なsmallG蛋白としてRhoJの機能解析を行った。RhoJはcdc42ファミリーであり細胞突起の形成を促進すると報告されていたが、内皮細胞特異的に強発現させられるマウスの系統を開発しその表現型を検討した。RhoJを強発現した内皮細胞は形態的に縮小し細胞突起の形成はむしろ阻害された。胎生初期からRhoJを内皮に強発現させると胎生致死の表現型がしばしば見られる事からこの細胞形態変化は内皮細胞に機能的にも影響していると考えた。RhoJのノックアウトマウスも完成し解析をすすめている。現在まで胎生致死に至るような重度の表現型は認めていないが内皮細胞での重要性は示唆されるので成体での病態生理学的な意義を検討する予定である。またノックアウトalleleに挿入したGFPが発現のモニターに十分使えることが判明した。血管内皮とともにかなり純化した骨髄造血幹細胞にもRhoJは高発現しており幹細胞の他のマーカーとの関連や造血細胞の動態も解析できる基盤ができた。 他に作製を予定していたP2Y5受容体ノックアウトはヒトの欠損型遺伝子変異で皮膚に症状があるが血管系の発生には問題がない事が報告されたので作製を中止した。
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