研究課題
miRNAは、約22塩基からなるsmall non-coding RNAの一つである。miR-34aは、細胞傷害性ストレスに応答し、がん抑制因子p53によって転写活性化される。miR-34aをがん細胞へ導入すると、細胞老化様の表現型を伴った増殖停止を誘導し、細胞周期関連因子の発現抑制並びにp53の活性化を引き起こす。本年度は、miR-34aによるp53活性化の分子機構の解析を行った。miR-34aによりp53の活性化に重要な382番目のリジン残基(K382)のアセチル化が亢進し、アセチル化体p53が核内へ蓄積することを見出した。また、miR-34aの標的mRNAとして、ヒストン脱アセチル化酵素であり、p53K382のアセチル化を制御することが知られているSIRT1を同定した。miR-34aをがん細胞へ導入するとSIRT1の発現が抑制され、それに伴って、p53の転写活性化能の亢進が認められる、この現象は、細胞へSIRT1を発現させることによって、抑制されることが判明した。さらに、細胞内で、miR-34aとSIRT1 mRNAが相互作用していることを確認した。これらの結果から、miR-34aによるp53活性化の分子機構として、miR-34aによるSIRT1の発現抑制が関連していることが判明した(論文執筆中)。miRNAの標的mRNAを生化学的および分子生物学的に同定する方法の樹立を行っている。現在まで、miR-34aの標的mRNAを特異的に濃縮する方法を開発した。今後は、生物学的意義を有するmiRNAの標的mRNAを網羅的に開発する方法として改良し、応用することが必要である。
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ゲノム医学 9
ページ: 37-41
J Pharmacol Sci. 108
ページ: 535-544