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2009 年度 実績報告書

エピジェネティクスと染色体ダイナミクスによる対立遺伝子排除の制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 20590298
研究機関京都大学

研究代表者

縣 保年  京都大学, 医学研究科, 准教授 (60263141)

キーワード遺伝子発現 / 転写因子 / クロマチン / エピジェネティクス / 対立遺伝子排除
研究概要

抗原受容体遺伝子の再構成は、通常片方の染色体に限って起こることが知られており、対立遺伝子排除と呼ばれている。これはクローン選択説の基盤であり、その破綻は自己免疫等の異常につながると考えられるが、その分子機構については明らかでなかった。我々は、多くの抗原受容体遺伝子の転写制御に関与するbHLH転写因子E2Aに着目して解析を行ない、E2AがT細胞受容体(TCR)β遺伝子の組換え標的部位に直接結合し、ヒストンアセチル化を上昇させ組換えを誘導することを見出した。さらに、片方の染色体で機能的な再構成が成功し負の抑糊シグナルが伝達されると、E2Aの抑制因子であるId3が誘導され、E2Aが組換え標的部位から解離することによってもう一方の染色体での再構成が抑制されることを見出し、これが対立遺伝子排除の鍵となる機構であることを明らかにした。一方、対立遺伝子排除に必須な分子は、通常リンパ球分化にも必須であるため、対立遺伝子排除が破綻した細胞は分化が停止してしまい、その生理的意義については解明されていない。そこで本研究では、対立遺伝子排除の生理的意義を解明することを目的として以下の解析を行なった。機能的な組換えが成功し、さらなる組換えが抑制される段階の細胞にE2Aを過剰発現させると組換えを誘導することができた。このE2A過剰発現系は、E2Aをエストロゲンレセプターの融合蛋白として発現させ、40HTによって一過性に活性化誘導するもので、細胞は分化停止を免れた。そこでE2Aによって機能的な抗原受容体を複数細胞表面に発現しうる細胞が誘導されるか検討したところ、意外にもそのような細胞はほとんど検出できなかった。この結果は、対立遺伝子排除にはDNAの組換えレベルでの制御に加えて、蛋白の発現レベルでも制御が存在することを示唆するものである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] The NF90-NF45 complex functions as a negative regulator in the microRNA processing pathway.2009

    • 著者名/発表者名
      Sakamoto S, Aoki K, Higuchi T, Todaka H, Morisawa K, Tamaki N, Hatano E, Fukushima A, Taniguchi T, Agata Y.
    • 雑誌名

      Mol Cell Biol 29

      ページ: 3754-3769

    • 査読あり
  • [学会発表] Regulation of Allelic Exclusion at the TCRβ Locus by the Helix-Loop-Helix Protein, E47.2009

    • 著者名/発表者名
      Agata Y, Sakamoto S, Tamaki N, Ikawa T, Masuda K, Kawamoto H, Murre C.
    • 学会等名
      Transcriptional Mechanisms of Early Lymphocyte Development.
    • 発表場所
      La Jolla, USA
    • 年月日
      20091105-20091106

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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