本研究の目的はファブリー病に対する新規治療法であるシャペロン療法を研究するためのモデルマウスを作製することにある。ファブリー病はα-ガラクトシダーゼAの遺伝的活性低下により細胞内に糖脂質、主にグロボトリアオシルセラミド(Gb3)が蓄積し障害を引き起こす遺伝病である。これまでのモデルマウスは薬物投与の影響を組織での酵素活性の上昇により観察できたものの、ファブリー病の直接の病因であるGb3量の変動を評価するには不適当であった。そこで、本研究において私は、ヒトGb3合成酵素遺伝子を導入することで組織でのGb3合成を活発化したマウスを作製し、Gb3量の変化によって薬物の影響を評価できるモデルマウスの作製に成功した。
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