研究概要 |
Nczf KOマウスの解析:Nczf KOマウスは胎生期9.5日までは生存しているが細胞数の減少、死細胞の増加が見られ正常胎児におこる体位の屈曲が認められない。細胞増殖の異常を調べるためにNczf KOマウスより線維芽細胞(MEF)を樹立し増殖等について調べた。KOMEFでは細胞増殖の著しい遅延が認められ、細胞周期GlからS期への移行が阻害されていた。サイクリン、CDKおよびCDKインヒビターなど細胞周期制御分子の発現を調べたところ、CDKインヒビターであるp21,p27のmRNAの発現が増加していた。このことからNczfはp21,p27の発現を負に制御すると考えられた。一方Nczfヘテロマウスの交配より得た胚盤胞からNcz fKO ES細胞を樹立した。このES細胞を用いて増殖および分化について検討した。KOESは野生型と同様増殖し、その差はみとめられなかった。またin vitroで神経系への分化を検討したがやはり野生型との差は認められなかった。これらの結果よりNczfは個体発生の胎生8.5〜9.5日の時期特異的におこる急激な細胞増殖をCDKインヒビターであるp21,p27の発現を強制的に抑えることにより制御していることが考えられる。今後レポーターアッセイなどによりそのメカニズムについて解析する予定である。一方、Nczfヘテロマウスを用いて腸管神経について解析を行った。成体マウスにおいてはNADPH-diaphorase染色において認められる腸管神経の細胞数が野生型の1.5〜2倍に増加していた。今後腸管機能異常やそのメカニズムについて調べる予定である。
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