研究課題
癌が突然変異によって発生することが報告されて以来、数多くの癌関連遺伝子がヒト癌において同定.されてきた。我々は、肺癌組織158例のMicroarray解析の結果を用いて、ゲノムインテグリティー関連遺伝子のmRNA発現プロファイルの検討を行った。その結果、本来癌で増加するはずのゲノムィンテグリティー関連遺伝子の一つPOLD4が、極めて生物学的悪性度の高い小細胞癌で特異的発現低下を示すことを見出した。そこでこの遺伝子のノックダウンを行い、表現型を調べたところ、DNA修復能の低下・細胞周期の遅延・染色体断裂の増加の3つの表現型を観察した。また、この遺伝子の過剰発現下でノックダウン実験を行い実験の特異性を調べたところ、全てについて相補を確認した。新たながんシグナル経路の発見に努めるべく、この遺伝子産物とともに免疫沈降する遺伝子産物を解析した。MSにて解析したところATM、CDC14等のチェックポィントタンパク質を同定した。さらに、肺癌細胞株を中心にPOLD4遺伝子の新規SNVを同定した。このSNVに対する他のタンパク質の結合性をyeast two hybrid assayで調べたところ、たいへん興味深いことに、POLD4が本来複合体を作るはずのDNA複製タンパク質POLD1との結合性が低下していることが明らかとなった。このことは今回発見したSNVがDNA複製能を変化させることを通じて細胞の癌化を促進する機構の存在を示唆した。
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