• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2010 年度 実績報告書

腫瘍抑制遺伝子BHD産物が制御するシグナル伝達系の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20590316
研究機関順天堂大学

研究代表者

小林 敏之  順天堂大学, 医学研究科, 准教授 (40260070)

キーワード家族性腫瘍 / 動物モデル / 腎癌 / シグナル伝達 / BHD / 細胞周期 / mTOR / サイクリンD1
研究概要

本研究ではBHD産物(FLCN)の機能について、mTOR複合体が関わるシグナル伝達経路とサイクリンD1の発現制御機構への関わりを中心として分析を進めた。HeLa細胞においてFLCN発現を抑制した後には、ラパマイシン感受性mTOR複合体(mTORC1=mTOR-raptor複合体)の基質であるS6K1のリン酸化の抑制が生ずるが、その原因の一つにmTOR-raptor結合の抑制が関わっていると考えられた。一方、293細胞におけるFLCN発現抑制により、S6K1の基質として最近同定されたラパマイシン非感受性mTOR複合体(mTORC2)のサブユニットであるrictorのリン酸化が亢進することも見出された。S6K1のリン酸化レベルとrictorのリン酸化レベルには明らかな乖離があることから、mTORC1とmTORC2の相互機能連関にこれまでに知られていない機構が存在するものと考えられる。一方、FLCN発現抑制によるサイクリンD1 mRNAの発現亢進の分子基盤の探索を行った。ヒトサイクリン遺伝子(CCND1)の発現を制御することが報告されている約1kbのプロモーター領域は、レポーターアッセイにおいてFLCN抑制時特異的な活性亢進を示すことはなかった。一方、CCND1 mRNAの3'非翻訳領域をレポーター発現ユニットに組込んだところ、約3kbの領域のうち中央の約1kbがFLCN抑制時特異的な発現の亢進に関わる配列を含むと考えられた。この領域には発現を負に制御する複数のmiRNAの標的となる配列があり、実際それらのmiRNAの標的となる他の遺伝子発現にもFLCN抑制による発現変化が認められ、miRNA発現がFLCNによって制御を受けている可能性が示唆された。これらの結果はいずれも新規の知見であり、今後発がん機構の解明をさらに進める上で重要な手がかりとなるものである。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Deficiency of the Erc/mesothelin gene ameliorates renal carcinogenesis in Tsc2 knockout mice.2011

    • 著者名/発表者名
      Zhang D, ら
    • 雑誌名

      Cancer Sci

      巻: (印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Clinical and genetic spectrum of Birt-Hogg-Dube syndrome patients in whom pneumothorax and/or multiple lung cysts are the predisposing feature.2010

    • 著者名/発表者名
      Kunogi M, ら
    • 雑誌名

      J Med Genet

      巻: 47 ページ: 281-287

    • 査読あり
  • [学会発表] Tsc2-mTOR axisの異常が関わる病態発生機構2010

    • 著者名/発表者名
      小林敏之
    • 学会等名
      第40回日本腎臓学会東部学術大会
    • 年月日
      20100000
  • [学会発表] Functions of mTOR complexes and mTOR-related tumor suppressor proteins (tuberin and folliculin) in differentiation of skeletal muscle cells.2010

    • 著者名/発表者名
      小林敏之, ら
    • 学会等名
      第33回日本分子生物学会年会第83回日本生化学会大会 合同大会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド(神戸市)
    • 年月日
      2010-12-10
  • [学会発表] TuberinのRac活性促進とRheb-GAP活性の機能連関2010

    • 著者名/発表者名
      大倉英浩, ら
    • 学会等名
      第69回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      大阪国際コンベンションセンター(大阪市)
    • 年月日
      2010-09-22
  • [学会発表] Tsc2 KOマウス腎腫瘍増殖におけるErc/mesothelin遺伝子の影響および関わるインテグリン伝達系の解明2010

    • 著者名/発表者名
      小橋(張)丹青, ら
    • 学会等名
      第69回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      大阪国際コンベンションセンター(大阪市)
    • 年月日
      2010-09-22
  • [学会発表] 骨格筋細胞分化における腫瘍抑制遺伝子産物(Flcnおよびtuberin)の役割2010

    • 著者名/発表者名
      小林敏之, ら
    • 学会等名
      第16回日本家族性腫瘍学会学術総会
    • 発表場所
      朱鷺メッセ(新潟市)
    • 年月日
      2010-07-09

URL: 

公開日: 2012-07-19  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi