研究課題/領域番号 |
20590320
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 敬一郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70221322)
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研究分担者 |
藤原 範子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10368532)
横江 俊一 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (40454756)
崎山 晴彦 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (30508958)
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キーワード | スーパーオキシドジスムターゼ / Cu / Zn-SODノックアウトマウス / 腎臓 / グルタチオンSトランスフェラーゼ / ヒドロキシノネナール / 酸化ストレス / 過酸化脂質 |
研究概要 |
Cu/Znスーパーオキシドジスムターゼ(SOD1)は生体にとって有害なスーパーオキシドを消去する酵素で、酸化ストレスから生体を守る重要な役割を果たしている。しかし、SOD1をノックアウト(KO)したマウスは一見正常に生育し、明らかな表現型を示さない。週令の高いSOD1KOマウスでは難聴や脂肪肝になることが報告されているが、若いマウスでは腎機能をはじめ目立った異常は見つかっていない。この事実から、SOD1KOマウスでは、SOD1を代償するような機構が存在することが予想される。特に腎臓は血流が大きく酸化ストレスに曝されやすい臓器の一つである。そこで、ディファレンシャルディスプレイ法を用いて、週令の若い(3週令)SOD1KOマウスと野性型マウスの腎臓を用いて発現の異なる遺伝子のスクリーニングを行った。その結果、候補タンパク質の一つとしてグルタチオン-S-トランスフェラーゼA4(GSTA4)をコードする遺伝子がSOD1KOマウスで有意に上昇していることを発見した。GSTA4は、ヒドロキシノネナール(HNE)などの脂質過酸化物に対する親和性が高く、他のGSTアイソザイムとは異なった基質特異性を有する酵素である。マウスGSTA4のみを認識するポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロット解析によってSOD1KOマウスでは腎臓で特にGSTA4タンパク量が上昇していること、免疫組織染色によって腎臓の近位尿細管にGSTA4が過剰発現していることを見いだした。以上の結果は、SOD1欠損による酸化ストレスで誘導されたGSTA4が過酸化物質から腎細胞を守る役割を果たしていることを示唆している。
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