研究概要 |
1. KIP2/LIT1刷り込みドメインにおけるnon-coding RNA LIT1の機能解明 昨年度の結果から、KIP2/LIT1刷り込みドメイン内に存在するnon-coding RNA LIT1を短くすると周辺の刷り込み遺伝子KvLQT1の発現が有意に上昇し、この上昇はプロモーター領域のピストンH3アセチル化の上昇に関連することがわかった。KvLQT1プロモーター領域へのヒストン脱アセチル化酵素(HDACs)の結合状態を調べたところ、LIT1 truncationによりHDAC1の結合が低下していることを示唆するデータを得た。また、LIT1 truncationによりDNase hypersensitive siteが出現することを未いたした。non-coding RNA LIT1は、KIP2/LIT1刷り込みドメインのゲノム領域全体を覆うように存在していると報告されていることから、正常細胞においてはLIT1によってヒストン脱アセチル化酵素が刷り込み遺伝子のプロモーター領域にリクルートされ脱アセチル化状態となり、ヘテロクロマチン形成により発現が抑制されていることが示唆された。なお、この発現抑制はDNAメチル化非依存的である。 2. マウスCommdl/U2af1-rs1ドメインの刷り込み調節機構 マウスCommdl遺伝子は脳特異的に刷り込みを受ける母性発現遺伝子である。そのイントロン1には、父性発現し、更逆方向に転写される刷り込み遺伝子u2af1-rs1が存在する。父性発現のu2af1-rs1がCommdlプロモーター領域まで脳特異的に転写されることにより転写干渉が生じ、Commdlが脳特異的に母性発現することを明らかにした(J Biochem, 2009)。
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