研究概要 |
重度の成長発達障害を有する男児に,色白・毛髪色素異常(金髪)が見られた.G分染法で47,XY, der(X), t(X;15)(p21.1;q11.2).この罹患児における成長発達障害は,派生(転座)染色体でXの不活化が生じ,その影響が切断点を乗り越え,常染色体(この場合は15q)に影響を及ぼしているものと考える. 1. 複製試験ではX;15の切断点近傍に複製遅延がみられている. 2. Bisulfite法を用いたPCRシークエンスで15q上のいくつかの遺伝子(SNRPN、 UBE3A、 OCA2、 RASGRP1、 UBR1、 TRIP15など)を対象にメチル化を検討した. 3. メチル化アレイを用いた網羅的検索で,XISの常染色体に及ぼすメチル化の範囲を特定した.本年度の研究は研究の総括として今までの実験で得られた結果の矛盾の解消に努める. 今年はMeDIP法とう言う網羅的な,メチル化解析を導入し,15番染色体のメチル化状態を15番染色体長腕のセントロメアからテロメアにわたり解析した.結果として転座によるメチル化がどのような範囲に及んでいるか,可視的に照明することができた.また今後,この材料を用いてどのような現象を追求することができるかという大きなヒントが得られた.メチル化領域の多型解析,染色体単離による直接的な派生染色体のおや由来の検討が今後必要になる. 平成23年3月31日現在結果は学術誌に投稿中であり近日中に公開できるものと考える.
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