申請者らは、昨年に引き続き、αシヌクレイノパチー(パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症)の細胞内封入体の構成タンパク質のひとつ「NUB1」に着目し研究を遂行した。特に本年度は主に下記1および2を行い、概ね計画通り進行したが、ダブルトランスジェニック(Tg)マウス(バーキンソン病モデルマウスにNUB1を過剰発現した)がが誕生せず、現在、NUB1 Tgマウスの生殖機能に関する病理学的、生化学的検討を行っている。 1αシヌクレイノパチーモデルマウスおよびヒト凍結脳を用いたNUB1の特徴に関する検討 αシヌクレインTgマウスを用いて、病理学的および生化学的検討をおこなったところ、シナプス末端において、タンパク質分解酵素、Proteinase Kに溶けにくい(タンパク質分解酵素耐性)αシヌクレインが局在しており、同部位にNUB1の異常蓄積が認められた。このような変化は対照例では認められなかった。興味深いことに、αシヌクレイノパチーの患者脳でも、同様の所見を確認した。 2NUB1トランスジェニックマウスを用いた病理学的・行動学的検討 ヒトNUB1 Tgマウス病理学的に正常対照例と比較して異常は認められなかった。現在までのところ行動学的にも異常は認められない。引き続き、αシヌクレイントランスジェニックマウスとの交配を進めると同時に、より発現の強いプリオンプロモーターを用したNUB1 Tgマウスの作製に向けて準備を整えている。すてに発現カセットは入手済みであり、2011年秋には誕生予定である。
|