研究概要 |
1.症例収集と整理:残胃癌の症例数を70例まで増やし、ティシューアレイに加えた。その他胃癌を合わせ、1020例を整理して、検索に利用している。残胃癌では進行癌症例が多く(89%,通常胃癌56%)、また患者年齢も有意に高かった(69.3歳、通常胃癌64.5歳)。 2.免疫組織化学的染色:上部癌ではsox2の発現が多く、cdx2,hnf4aなど腸型の転写因子は陰性の症例が多かった。残胃癌でも同様の結果が得られ、発生部位による性格が腫瘍発生後も残っている可能性が考えられた。また、早期癌では腸型cdx2,hnf4aの陽性例が多かったが、癌の浸潤と共に段階的に陽性例は減少し、sox2も陰性のいわゆるNULL型を示す腫瘍が多くなった。NULL型の進展が速い可能性が考えられる他、進展と共に性格が変化する可能性が考えられ、培養細胞モデルを利用して、解析を進めている。 3.DNAメチル化解析:Phi29 DNA polymeraseによるDNA増幅を行った後のMSPを検討した。増幅無しのMSPとCIMPの割合が少し、異なっており、Bisulfite処理後の塩基配列決定との比較を進めている。hMLH1のMSP結果とMLH1の免疫組織化学的染色結果を比較しているが、多少の解離があり、MLH1抗体を変更して、条件検討を追加している。 4.遺伝子多型解析:EBウイルス関連胃癌105例からDNAを抽出し、PCR後の質量分析器による解析(Massaray)で定量的SNPタイピングを行った。その結果、COX2のSNPに片寄りが検出され、詳細を追加検討している。EBV遺伝子の多型(LMP2Aなど)には日本人コントロールと有意な違いは見られなかった。
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