胃癌での転写因子や粘液などの形質発現とメチル化の状態の状態を中心に解析した。特に、残胃癌、上部胃癌、EBV関連胃癌とその他の胃癌との比較を中心に検索を行った。残胃癌ではEBV関連胃癌が多く、進行癌、高年齢患者であることが多かった。メチル化状態については、上部胃癌とその他の胃癌で有意な違いは見られなかった。転写因子ではEBV関連胃癌、上部癌でSOX2の陽性率が高く、HNF4aP1やCDX2といった腸型転写因子は陽性率が低かった。SOX2と同じSOX familyに属するSOX9ではEBV関連胃癌では陽性率は低く、メチル化率が高かった。培養細胞系での実験で、EBV感染によって、SOX9のプロモーターのメチル化が誘導され、mRNAや蛋白の発現が低下することが再現され、SOX9はEBV感染と関連した変化であることが分かった。
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