骨髄に初発するびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫は特徴的な臨床病態を呈する難治性のリンパ腫である。診断および治療方法の確立のためにはまず骨髄に初発するびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(骨髄DLBCL)を通常型のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(節性DLBCL)と区別する必要があると考えられる。そこで我々は骨髄DLBCL症例の免疫グロブリンVH遺伝子のシークエンス解析を行ったところ、多くの症例で自己抗体産生に関与することが知られている免疫グロブリンVHファミリーを有していた。次に特異的分子を明らかにすることを目的としてケモカイン・ケモカインリセプターに限局した発現マイクロアレイを行ったところ、ケモカインリセプターXCR1について骨髄DLBCLで有意に発現の上昇が認められ、定量RT-PCR法及び免疫染色にてこの結果を確認することができた。以上より、骨髄DLBCLは自己免疫疾患と関与するB1細胞などの特異なB細胞由来であることが示唆された。また、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫以外のB細胞性リンパ腫や関節リウマチ症例の関節内リンパ球についてもXCR1の免疫染色を行ったところ、MALTリンパ腫と関節内のBリンパ球に特異的に陽性所見が得られた。したがってXCR1は診断マーカーとして、また新たな治療法の標的として有用であろうと考えられた。今後はXCR1の生理的意義についてもさらに詳しく調べる予定である。
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