研究課題
基盤研究(C)
がん幹細胞の観点からCdx2の機能解析を試み、最終的には病理組織学的診断に有効な形態学的特徴と関連づけることを目標として、以下の研究を行った。まず、Cdx2発現とPTEN活性化の関連を見るため、胃癌細胞株TMK-1細胞に野生型及び不活型PTEN発現ベクターを導入したところ、野生型PTEN導入細胞のみにCdx2と腸型クローディン(Claudin-3、Claudin-4)の速やかな発現誘導が見られた。クロマチン免疫沈降法により、Cdx2は腸型クローディン遺伝子プロモーター領域に直接結合することが確認された。胃癌症例の免疫組織化学的検索より、核内PTENとリン酸化型Akt発現レベルは逆相関し、核内PTEN陰性例は予後不良で、腸型分化傾向も低かった。以上より、胃癌細胞の分化を司るCdx2の機能発揮にはPTENのフォスファターゼ活性が必要であることが判明した。次に、Cdx2陰性CD133陽性SW480細胞にCdx2を強制発現することにより、増殖抑制、形態学的変化、造腫瘍能抑制が認められ、CD133陽性並びに陰性細胞の発現遺伝子の比較より、CD133陽性細胞ではTGF-βレセプター発現が高く、これはCdx2発現細胞では低下する傾向が確認され、がん幹細胞性維持にTGF-β高感受性が必要とみなされた。3次元培養においてTGF-β存在下で腺管構造の延長や分岐抑制が観察され、TGF-βはtumor sphere表面でのSnail発現を亢進させ、これはSW480細胞の腫瘍形成能を増加させることがSnail発現ベクター導入実験より明らかとなった。腫瘍表面でのTGF-β誘導性Snail発現は大腸癌腫瘍先進部でのtumor budding像と関連し、そのがん幹細胞性再獲得との密接な関連性が示唆された。
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