マクロファージ特異的にヒトMMP-1およびMMP-9を高発現するConstructを作製し、ウサギ授精卵へのマイクロインジェクション実験を行った。 MMP-9については、58羽のドナーウサギから1697個の卵を採取し、その内1044個の核内にDNA液をマイクロインジェクションした。39羽の仮親ウサギの卵管内に879個の胚を移植したところ、26匹の仔ウサギが誕生した。PCR法を用いたゲノムの解析により、4羽の仔ウサギに目的遺伝子の導入が確認されたが、現在まで生存しているのはメス1羽(17週齢)とオス1羽(6週齢)である。これらのファウンダーウサギが性成熟に達すればF1世代の繁殖が可能となる。一方、MMP-1については、これまでに19羽のドナーウサギから採取した554個の卵の内405個の核内にDNA液をマイクロインジェクションした。仮親ウサギ12羽に合計336個の胚を移植したところ、これまでに9羽の仔ウサギが得られた。しかし、PCR法を用いたゲノム解析の結果、得られた仔ウサギいずれにも目的遺伝子の導入は確認されなかった。MMP-9での結果を踏まえると、MMP-1遺伝子導入ウサギを得るためには、今後これまでの2〜3倍程度のマイクロインジェクション実験を行う必要がある。 オスWHHL MIウサギから精液を採取し、メスのMMP-12遺伝子導入ウサギへの人工授精を行った。延べ8羽の母親ウサギから40羽の仔ウサギが出生し、その内オス5羽、メス8羽がMMP-12遺伝子導入ウサギであった。これらMMP-12遺伝子導入仔ウサギのLDL受容体遺伝子はヘテロ(+/-)となっているため、今後これらのウサギが性成熟に達した後に、再びWHHL MIウサギと交配し、MMP-12遺伝子導入WHHL MI(LDL受容体遺伝子:-/-)ウサギを作成する。
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