研究課題/領域番号 |
20590345
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
米澤 傑 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10175002)
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研究分担者 |
後藤 正道 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (80325779)
東 美智代 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (60315405)
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キーワード | MUC1 / MUC2 / MUC4 / MUC16 / 肝内胆管癌 / 粘液産生胆管腫瘍 / 予後因子 / エピジェネティクス |
研究概要 |
我々が提唱したIPMNならびにMPBTの新分類において重要なポイントとなるMUC1とMUC2、さらに、膵胆管系癌の予後不良因子であるMUC1とMUC4の発現について以下のように研究を進めた。 MUC1とMUC4のエピジェネティクスについて、膵癌・乳癌・大腸癌細胞株における5-aza-2'-deoxycytidine(5-azadC)とtrichostatin A(TSA)の処理による各々のmRNAの発現回復の検討や、DNAメチル化定量解析法(MassARRAY法)、MSP法、ChIP法を用いての検索の結果、MUC1とMUC4の発現制御には、転写開始付近におけるCpGのメチル化状態あるいはヒストンH3-K9修飾状態のようなエピジェネティクス機構が関与していることが示された。 ヒト組織から、マイクロディセクション法でMUC1ムチン発現が陽性の箇所のみを採取した検体においてはMUC1の遺伝子プロモーター領域は非メチル化の状態であった。この結果は細胞株での検索結果に一致しており、実際のヒト組織においてもMUC1の遺伝子発現機構にエピジェネティクスが関与していることを明らかにした。 腫瘤形成性肝内胆管癌(ICC-MF)と粘液産生胆管腫瘍(MPBT)において、卵巣癌のマーカーとして知られているMUC16(CA125)の異ったエピトープを認識する2つのモノクローナル抗体M11とOC125で検出されるムチン抗原であるMUC16/MllとMUC16/OC125の発現を免疫染色で検索した。MUC16/Mllは浸潤性増殖をして予後不良のICC-MFで、MUC16/OC125は膨張性増殖をして予後良好のMPBTで有意に高い発現率を示した。さらに、ICC-MFのうち、MUC16/Mll陽性例は陰性例より有意に予後不良であったが、MUC16/OC125ではそのような傾向はなかった。これらの結果より、MUC16/Mllが肝内胆管腫瘍の予後不良因子である可能性が示唆された。
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