研究分担者 |
田中 敏 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30374250)
村田 雅樹 札幌医科大学, 医学部, 助教 (10404592)
山口 洋志 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (80457704)
小笠原 徳子 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (00438061)
正木 智之 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (30457717)
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研究概要 |
感染アレルギーの予防と治療を最終目的として,自然免疫を介したタイト結合によるヒト鼻粘膜バリア調節機構の解明を検討している.特に今年度は,アレルギー性鼻炎に焦点を絞り,ヒト鼻粘膜上皮(in vivo,in vitro)のタイト結合の発現調節機構の解析を行った. アレルギー性鼻炎の鼻粘膜組織を用いた解析(in vlvo) 1.ヒト鼻粘膜におけるthymic stromal lymphopoietin(TSLP)の発現変化 臨床症状およびサイトカインの産生度で確定診断したアレルギー性鼻炎の鼻粘膜組織と正常鼻粘膜組織と比較検討した結果,明らかにアレルギー性鼻炎の鼻粘膜組織にTSLPの発現亢進がみられた. 2.ヒト鼻粘膜のタイト結合の発現変化 アレルギー性鼻炎の鼻粘膜上皮のタイト結合分子の発現をTSLPの発現の有無と比較検討した結果,TSLP高発現の鼻粘膜上皮において,一部のタイト結合分子の発現低下がみられた. ヒト培養鼻粘膜上皮細胞の確立とタイト結合の発現調節機構の解明(in vitro) 1.ヒト鼻粘膜上皮細胞の培養系の確立 手術で得られたヒト鼻粘膜組織より上皮細胞を分離同定し,初代培養系を確立した. hTERT遺伝子をヒト初代培養鼻粘膜上皮細胞に導入し,継代可能な細胞系を作製し,初代培養細胞と細胞特性およびタイト結合の発現機能について比較検討した結果,ほぼ同一であった. 2.培養鼻粘膜上皮におけるTSLPの発現誘導 様々な増殖因子,サイトカイン刺激によりTSLPの発現を見た結果,TLR2, TLR3, TLR4のリガンドおよびIL-1β/TNF-αによりTSLPの発現誘導が確認された. 3.培養鼻粘膜上皮のタイト結合によるバリア機能へのTSLPの影響 TSLPによる上皮細胞のタイト結合の発現およびそのバリア機能の変化を検討した結果,明らかな亢進がみられた.
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