研究課題
現在、日本国民の4人に1人が花粉症を発症し、また世界的にもインフルエンザをはじめとする感染の流行などで、その感染アレルギーの予防および治療のための上気道の生体防御機構の解明は非常に重要である。本研究は、感染アレルギーの予防と治療を最終目的として、自然免疫を介した鼻粘膜上皮細胞および樹状細胞のタイト結合によるヒト鼻粘膜バリア調節機構の解明を行うものである。本年度は、確立したhTERT遺伝子導入ヒト鼻粘膜上皮細胞およびヒト樹状細胞株を用いて、自然免疫に関与が知られている核内受容体であるPPAR-gammaに焦点を当て、タイト結合発現調節機構の解析を実施した。1 hTERT遺伝子導入ヒト鼻粘膜上皮細胞の確立human telomerase reverse transcriptase(hTERT)遺伝子をヒト初代培養鼻粘膜上皮細胞に導入し、継代可能な細胞を作製した。2 培養ヒト鼻粘膜上皮細胞におけるタイト結合発現調節機構の解析確立した培養ヒト鼻粘膜上皮細胞にPPAR-gammaリガンドを処置した結果、バリア機能の亢進を伴うタイト結合分子の増加がみられた。これらの変化は、PPAR-gammaのinhibitorおよびsiRNAで抑制可能であった。さらにシグナル伝達経路であるPKC依存性であった(Ogasawara et al.,2010)。3 ヒト樹状細胞株におけるタイト結合分子の発現調節ヒト樹状細胞株(THP-1)を用いて、樹状化におけるタイト結合分子の変化をみるとともに、樹状化抑制作用の知られているPPAR-gammaリガンドの影響を調べた。結果、樹状化とともにタイト結合分子のひとつであるJAM-Aの著しい発現亢進がみられた。しかし、PPAR-gammaリガンドによるJAM-A発現抑制は認められなかった(Ogasawara et al.,200g)。
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