研究課題/領域番号 |
20590348
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
青木 一郎 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (00184028)
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研究分担者 |
長嶋 洋治 横浜市立大学, 医学研究科, 准教授 (10217995)
長濱 清隆 横浜市立大学, 医学部, 助教 (00336538)
齋藤 知行 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (30170517)
梁 明秀 国立感染症研究所, エイズ研究センター, 第一研究グループ長 (20363814)
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キーワード | 関節リウマチ / Pin1 / 滑膜 / リン酸化 / NFκB |
研究概要 |
RA患者40例、変形性関節症(以下、OA)患者11例の滑膜組織を、本人の同意を得て手術時に採取し、Pin1抗体を用いて免疫組織染色を行った。Pin1は、RA及びOAの滑膜上皮細胞やリンパ球、間質細胞などに発現した。特に滑膜上皮細胞においてPin1の発現が強陽性または陽性を示したものが、OAで11例中6例(55%)に認められたのに対し、RAでは39例中35例(90%)に認められ、RAでOAより有意に高い発現を認めた。続いて、RA滑膜組織を、浸潤マーカーであるMMP-1、MMP-3抗体、増殖マーカーであるPCNA抗体、筋線維芽細胞マーカーであるalpha-SMA抗体などで免疫組織染色を行ったところ、Pin1の高発現したRA組織では、MMP-1、MMP-3やPCNAは共に有意に高発現していた。また、alpha-SMAは血管壁周囲だけでなく滑膜上皮細胞にも高発現していた。それらの滑膜組織から、RAおよびOA滑膜細胞の初代培養株(以下、RA-FLS、およびOA-FLS)を複数株樹立した。これらの培養滑膜上皮細胞から可溶性タンパク質を抽出し、ウエスタンブロット法を行ったところ、OA-FLSと比較してRA-FLSにおいて、Pin1の発現量は有意に高かった。また、Pin1が特に高発現しているRA-FLSでは、低発現しているRA-FLSやOA-FLSに比べ、MMP-1、MMP-3やPCNAの発現が有意に高かった。また、複数のRA-FLSにTGF-b1(5ng/ml)刺激を行い、0、12、24、48、72時間後の各々のPin1、alpha-SMAの発現について蛍光二重染色やウエスタンブロット法にて検討したところ、TGF-bl刺激24時間後より、RA-FLSの一部に形態学的に筋線維芽細胞への分化が認められた。蛍光二重染色では、Pin1とalpha-SMAは筋繊維芽細胞の細胞質に共発現していた。Pin1高発現のRA-FLSでは、TGF-b1刺激後、経時的にPin1の発現が増加するのに伴い、alpha-SMAの発現も増加したが、Pin1低発現のRA-FLSでは、Pin1、alpha-SMAともあまり増加しなかった。
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