研究課題/領域番号 |
20590349
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
國安 弘基 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00253055)
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研究分担者 |
傳田 阿由美 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90110858)
笹平 智則 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90405374)
大森 斉 奈良県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (80213875)
藤井 澄 奈良県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (60284189)
バワール ウジヤール 奈良県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (50433339)
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キーワード | アンギオテンシン / キマーゼ / レニン / 大腸癌 / 肝転移 / 糖尿病 / アンギオテンシン系抑制剤 / 血糖降下剤 |
研究概要 |
大腸癌のアンギオテンシン活性化機構をさらに検索してゆくと、大腸癌培養細胞の中にグルコース濃度を増加させたときにその濃度に比例してアンギオテンシンIIが生成されるものが認められた。この細胞で発現しそいるアンギオテンシン活性化関連遺伝子の発現を検討すると、CD10は陰性であり、レニンおよびキマーゼの発現が認められた。興味深いことにレニンの発現は培養液グルコース濃度と相関していた。さらにこの細胞を用いて、ストレプトゾシン誘発糖尿病マウスにおける肝転移の形成を検討すると、血中糖濃度に相関したアンギオテンシンII生成の亢進と肝転移の促進が認められた。このような糖濃度依存性のアンギオテンシン活性化機構に基づく肝転移の促進が実験系で認められたため、ヒト大腸癌における糖尿病、HbA1cレベル、原発巣におけるレニン発現、アンギオテンシンII濃度を検討すると、肝転移陽性大腸癌は有意に糖尿病合併患者に多く見られた。さらに、大腸癌糖尿病合併大腸癌患者では、特に肝転移陽性例で、HbA1c高レベル、レニン発現亢進、アンギオテンシンII高濃度が見られた。これらのことから、糖尿病における高血糖は大腸癌肝転移の促進因子と考えられた。これを踏まえ、ストレプトゾシン誘発糖尿病マウス肝転移系を用いて、アンギオテンシン系抑制剤、血糖降下剤を単独あるいは組み合わせて処理したところ、単独でも肝転移抑制・生存期間改善が見られたが、両者の併用による相乗効果も認められた。このように、アンギオテンシン系は増加しつつある糖尿病患者における大腸癌の肝転移抑制治療の標的としても重要と考えられた。
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