研究概要 |
平成21年度は前年度の結果に基づいて、主に子宮内膜正常及び癌組織を用いて、免疫組織学的にPar4発現に関連する分子の検出を行った。同時に、Tunnel法による組織標本上でのアポトーシス細胞の検出を行い、Par4発現との関連性を検索した。 1) 免疫染色:アポトーシスに関与するrelA, pAkt, bcl-2,及びWT1に加えてホルモンレセプター(ER, PR)発現を検索し、Par4発現との関連性を検討した。正常子宮内膜でPar4発現は、上皮成分でホルモンレセプター発現とのみ正の相関を示し、間質細胞ではrelAと正の、pAktと負の相関を示した。一方、内膜癌組織では、relA, bcl-2と正の相関を示していた。 2) アポトーシスとの関連:正常組織では、アポトーシスは上皮細胞のみなら間質細胞でその陽性率が増加した。癌組織では、腫瘍の組織学的悪性度と一致して増加した。Par4発現とアポトーシスは正常間質細胞で正の相関を示したが、正常上皮細胞や癌組織では、そのような関係は認めなかった。 3) 内膜癌培養細胞による検索:Ishikawa及びHec251細胞で、血清除去またはTNFα処理によるアポトーシスやsenesence誘導と一致してPar4発現が誘導された。同時にrelA発現誘も増加した。加えて、外因性にPar4遺伝子を導入は、アポトーシスとsenesence細胞の増加をきたした。 以上の結果から、Par4発現はrelAやpAK及びbcl2発現と関連を示した。一方、そのアポトーシス誘導メカニズムは極めて複雑であることが示唆された。来年度は、その分子メカニズムを主に内膜癌培養細胞と分子生物学的手法を用いて解明したい。
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