研究概要 |
前年度に作成したimmunoglobulin enhancer/promotor-drived m-miR146a,m-miR193bのトランスジェニックマウス(miR146a Tg, miR193b Tg)のフェノタイプ、Bリンパ球の動態の特徴を解析した。マウスの成長に従ったde novoのBリンパ腫の発生は一年間の観察期間にて見られなかった。一方、胚中心にフォーカスした細胞動態を観察するため、sheep red blood cell(SRBC)を腹腔内注射し、脾臓および末梢リンパ組織の腫大や胚中心形成を誘導した組織標本を解析した。SRBC刺激にて、特に両トランスジェニックマウスとも野生型との比較において、脾臓の顕著な腫大は認めなかった。また脾臓内に形成された2次濾胞の胚中心のサイズや形態にも明らかな差異は目立たなかった。そこで、SRBC刺激にて脾臓内に胚中心形成を誘導後、miR146a-Tg,miR193b-Tg,wild type(WT)いずれも同様の方法でanti-mouse IgM antibody(α IgM Ab)を腹腔注射したところ、WTとのサイズの組織学的比較にて、miR146a-Tgの胚中心が拡大・増生傾向を示し、逆にmiR193bでは胚中心が委縮する現象が見られた。現在この現象が特異的か否かを確認中であり、特異的現象であれば胚中心B細胞のsubpopulationの変動の有無やBCR signalへの反応性(アポトーシス抵抗性など)について詳細な分子病理学的検討・解析を行う予定である。
|