【研究概要ならびに目的】テラヘルツ(以下、THz)波の医療への応用、特に非観血的な方法での病理診断への応用を検討した。 【方法】旧半導体研究所(現在、上智大学西澤記念テラヘルツ研究所に移管され、運用)が開発したGaP結晶式THz波発生装置を使用し、以下の検討を行った。 1) THz波によるパラフィン包理組織切片の病理組織解析への応用 転移性肝臓癌及び非腫瘍性病変である急性心筋梗塞のTHz波の透過の違いによる画像を作成し、得られたTHz波の画像と通常の病理組織診断に用いられるHE染色標本の組織所見とを比較し、併せて組織標本中のTHz波の透過性の相違を生じる因子につき検討、考察した。 【結果】THz波イメージングによる画像はHE組織標本と同様、病変部及び正常組織が識別され、各々の組織の性状の相違はTHz波の組織透過性の相違として反映された。THz波透過性の因子は組織の各部分を構成する成分及び細胞の密度が関与している可能性が示唆された。本検討につき論文を作成し、Tohoku J Exp Medに受理された。 2)THz波イメージングにおけるTHz波の組織透過性の因子の検討 良性腫瘍病変の子宮平滑筋腫の組織標本を用いてTHz波の組織透過性の相違を検討した。本検討では組織の細胞密度を計測、数値化し、THz波画像の各部分を比較した。 【結果】THz波の組織標本中の透過性の相違は細胞密度の他、組織の性状の他、細胞質の多寡も関与している可能性が示唆された。現在論文作成中である。
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